尾瀬の紅葉めぐり&白根温泉の旅

By Hiromi


今回は、紅葉と渓谷の美しさの中でのライディングを楽しみに尾瀬の照葉峡・坤六峠へでかけた。おおかた天候にも恵まれて青空の広がる中でのツーリングとなった。
 
 途中、白根温泉「薬師の湯」で疲れをほぐし、フロアのテレビに映る茂木でのロードレースに夢中になったりもした。Ayaさん考案のこのルート、ご案内メールのとおりの「のんびりゆったりルート」で快適だった。詳細を以下のようにまとめてみた。

●「高坂SA」で待ち合わせ
 待ち合わせは7時半。6時20分に家を出て途中給油をすませToruと練馬から高速に乗る。
 いきなり混みだしているので少しあせるが丁度1時間後に35K先の「高坂SA」に到着。
 皆を探して周りを見渡し始めて数分後、Ayaさんに出会う。今回はパープリッシュレッドのセローで参加だ。 ジャケットも深みのあるピンクで、ゴーグルのワンポイントもピンク。さりげなくコーディネイトされている。
 
 次に現われたのがMamoruさん。遠くから歩いてきてもペアスロープの赤の皮ジャンはとても目立つ。それも新作。確か前回はイエローのジャケットに新品のパンツだった。
 大型のWロッパンにぴったりの装いだ。Toruが「すごいなぁ〜」、細身のAyaさんは「ペアスロープもSサイズがあればねぇ」と言っている。
 
 白と青と赤のコントラストが光るホンダCBRのAiちゃんが颯爽とやって来た。「前傾姿勢は首が痛いよ」とも言うが、バイクと一体になれるし、そこがオンの魅力のひとつだ。「古いのよ」と言うがレーサーレプリカってそれだけで迫力がある。よく手入れされていて綺麗だ。メンテもきちっとできるのだろうな。あとは千葉方面から来るKoichiroさんを待つのみとなる。渋滞にはまっているのは確実だ。
 
 ToruはTTR250。いつものクシタニのジャケットに赤・青・メタリックのスイカ模様にも似た派手なメットをかぶっている。乗用車の後部座席に乗った子どもの大半はToruに釘付けになり、次に手を振る。これまでにもSAで休憩中に小学生が珍しそうにToruに近寄って来る事が重なった。仮面ライダーに見えるのかな。同じく走る乗用車の窓から首を出した犬もToruが好きらしい。
 
 私は前日にToruのTTRとZZRと自分の赤セローを磨きこんだ。以前マダムからもらったアストニッシュというイギリス製のホームクリーナー、これで磨くとホントに汚れがよく落ちる。曲がったブレーキレバーも取り替えて準備は完璧!(…のつもりでいた)

●「駒寄SA」〜「水上IC」
 最後に現われたKoichiroさんの話によると、渋滞中の路肩走行でタイヤに釘がささりパンクしたのだという。さぞかしヒヤリとしたことだろう。これからバイクを修理に出しに行くので、「白根温泉」あたりで合流しようということになり、8時に5人だけで出発した。
 高坂SAを出発して数キロ走ったところでセローがスカスカスカという音を立て始めたので、合図を出して減速した。皆エンストしたのかと思ったらしい。直ぐ加速すると順調に走り始めたので皆に合図してまた元に戻った。走行中しばらくして、タンクの下のほうで「カラン」という音がした。気になったがセローはそのまま走り続けた。次の駒寄SAで一旦休憩し、赤城高原SAを走り抜け、次の休憩所の水上ICまで自宅から累計141Kを無事走行した。

●「谷川岳」の絶景
 午前10時半すぎに水上ICでバイクを止め、尾瀬方面へ向かう前に「谷川岳に寄ろう」ということになった。谷川岳は群馬県と新潟・長野両県の境界に北東から南西につらなる山脈(三国山脈)の東部の連峰で海抜1977m。頂上は霧で隠れていてよく見えないがさすがに「高いな」という印象。麓はさすがに寒いがトッレッキング姿の観光客を沢山みかけた。皆、紅葉を眺めに来たのだろう。
 
 「寒いわ〜」「紅葉はもうちょいだけど、景色が綺麗!」というのがAyaさんの感想。続いて「雪解け水が綺麗」とMamoruさん。「山の頂上がとんがってる〜!」とToru。バイク置き場へ向かう途中、雪解け水が流れ出している道をAiちゃんが「きゃぁー」といいながら渡っているのが見えた。「ここまで来れたんだなぁ」というのが私の感想。足元がぬれないように岩場をつたって、ついでに写真撮影をしながら帰る。Aiちゃん持参のチョコレートをおやつに頬張る。気温が低いのでチョコレートもパリパリの歯ごたえ。11時に出発。

●「水上片品線の紅葉」
 谷川岳からR291(上越線)を尾瀬方面に走り奈良俣ダムを越えバイクを停める。群馬県水上町:本日の北限に到着。青空が広がりとても暖かい。手前の谷川岳ではまだ紅葉手前といった感じだったが、照葉峡&坤六峠では素晴らしい紅葉が続いている。先頭を走るMamoruさんが立ち乗りして風景を眺めながら走る気持ちがよくわかる。
 道の端々に三脚を立てカメラを構えた人がいる。この景色は写真におさめたいだろうな。紅葉の色の混ざりぐあいが微妙で美しい。もう葉が舞い落ちている木もあるので来週末ではこの景色を堪能するには遅すぎるらしい。早速道端にバイクを停めて、紅葉鑑賞をする。脇の坂道を入って少し山を分け入ると落ち葉の中からキノコが見えたり…すっかり秋モード。皆言葉少なに木々に見とれている。
 「我を忘れるほど」と表現したAyaさんの言葉その通りの紅葉に、ここでのコメントは「来てよかったな」の一言に尽きる。残すイベントは温泉入浴のみとなる。12時半になり急にお腹がすいてきた。
 
●「R120:日本ロマンチック街道」
 走行距離も245Kになり、昼食前に全員で給油。お昼は温泉手前のやまめ料理がおすすめという片品町橋本屋」に決定。ガソリンスタンドでAiちゃんのバイクにまたがらせてもらった。「足つきがいいと安心感があるよ」と言われ納得。ハンドルを切るとタンクにあたる感覚が新鮮だった。急カーブや急な山道を登ることを想像すると自転車セローがいいけれど、高速は前傾姿勢で走れたら気持ちいいだろうな、などと想像する。
 給油も済みエンジンをかけるとToruがセローに寄って来て「ヘンな音がするバイクはこれだったんだね」「割れたエンジン音がしているよ」という。Ayaさんも「だんだんエンジン音が大きくなってきた気がする」という。オイルを確認すると空になっている。「空になることなんてあるの?」とAiちゃんが不思議そうだ。ゆっくりバイクを走らせて橋本屋に向かう。
 
●「R291〜お昼ご飯」
 橋本屋に到着。晴天の中、皆ねむくなる。「ご飯モノは売り切れです」という返事に定食が食べられず、麺類を注文。きのこそば、月見うどん、山菜そば、ざるそば、と美味しそうなメニューがならぶ。バイクの機種の話に始まり「マフラーを焼くってどうやるの?」とかスクーターに乗った話で盛り上がる。私はスクーターに乗ったことがない。小型バイク好きの父にはスクーターを薦められたが「大型」とか「皮パン」とか「林道」などに憧れていたのですぐ却下した。でもスーパーへの買い物などには便利だろうなと思う。どこにでも気軽に停められるのがいい。立ちゴケもしないだろう。昼食後は別ルートのMamoruさんとお別れし、4人で白根温泉を目指す。

●「沼田IC〜白根温泉」
 道の端の「きのこ」「とうもろこし」などの旗を横目にすりぬけて、3時すぎに白根温泉に到着。国道120号沿いということもあり見つけやすい。Ayaさんが「こんなとき車で乗り付けて野菜たくさん買いたいでしょう?」と主婦の気持ちを言い当ててくれる。入り口には「足だけ入浴」コーナーや「温泉卵」販売機、お土産販売店が出ていて至れり尽せりといった感じ。利用料は大人1000円が感謝料金600円に割引されている。「4時前にあがりましょう」と入り口でToruと別れる。

 泉質は無色透明で、単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)といって疲労回復・健康増進といった効能があるらしい。湯温が心地よい。標高964mだからなのか毎分350〜500リットル(60・2℃)湧出の豊富な湯量は他に例がないという。3人でバイクの話などしながらついつい、のんびり1時間近く入浴する。Toruはすでにお風呂から出ていた。出口の休憩所の大型TVで茂木のロードレースが放映中で、しばらく4人でTV観戦などして宇川選手、加藤選手の世界GP入賞インタビューを聞きながらAiちゃんのチョコレートを食べる。谷川岳でパリパリの食感だったチョコレートが柔らかくなっていて美味しい。そんなこんなで4時半もまわりそろそろ5時になるまえに温泉を後にする。セローは相変わらず、すごい音を立てている。
 
●「ふたたび沼田IC」と「バイク屋」探し
 AyaさんとAiちゃんと沼田IC手前まで一緒に走る。運良くバイク屋を見かけたので、二人とはここで別れることに。Toruがバイク屋のお兄さんに声をかけ、状況を説明する。エンジンをふかすと、お兄さんは「あ〜、こりゃあ、ひどいや」と言う。私は祈るような気持ちでいっぱいだ。セローにオイルを入れるとなんと1リットルも入るではないか。約2万キロを走っている私のセローのエンジンは「そろそろ寿命なんじゃないかな」とも言われた。「走れますか?」と尋ねると「これで行ける所まで行くしかないね。オイルが浸透して少し調子がよくなるといいけど」という返事。すごく不安になったけど、走れるのだから行くしかない。「一定の高速で走りつづけるのが一番よくない」と言われ、高速に乗らず下の道を走ることにする。
 
 Toruが60Kくらいの速さで前を走る。信号で止まるたびに「大丈夫か」と言う。確か出発の朝も「調子はどう?」と聞かれた。私は「ねむくないよ」と答えたけれど、Toruは今日に限らず必ず「バイクの調子」を聞いていてくれたのだ。なのになんてことだろう。私は前日までセローを触っていたのに外見だけ磨いてレバーを取り替えただけで、オイル点検を忘れていた。
 
 小雨が降り始め暗くなった公道を走りながら、セローのことを考える。Toruが海外に行っている間にこっそり教習所通いを始めたっけ。小型限定解除&結納記念で買ったばかりのセローだ。このセローで九十九里・富士山麓の林道・鴨川シーワールド・黒姫高原…を走ってきた。皆で走るツーリングも今回で3回目。そんなことを思い出していると信号が赤になった。急に「もしこれがセローと走る最後だったら」と思ったとたん、鼻がツーンとしてきた。

●「本日無事生還」と「その後」
 しばらく走って、途中夕食休憩を入れて夜11時半をすぎて自宅に到着。セローはあのようなエンジン音を出しながらもちゃんと走ってくれた。Toruは相当疲れただろう。翌日早朝からToruのサッカーの試合があったので、夕方になってToruと一緒に走ってもらい実家近くのYSP京葉にセローを預けた。エンジンは解体してみないとどうなるかわからないが、エンジンのオーバーホールが必要かもしれない…。
 
 セローはただ今入院中。外出はToruのZZR1100の後ろに乗せてもらっている。街中を走るとセローにすれ違う。信号待ちのセローのエンジン音を聞いていると「健康な(正常な)いい音してるなぁ」と思う。
 来月の茂木の「全日本ロードレース選手権シリーズ第11戦」の予選&本選チケットを買った。このレースにセローで行けますように…。そして次回のツーリングにも、セローで行きたいと思う。(おわり)

●追伸
 この10日後、YSPから「エンジンはほぼ全滅」の連絡が入った。その週末に分解されたセローのエンジンを見に行き、セローを手放すことにした。セローなしの生活なんて寂しすぎる!そこでついに、ついに、ついに、新車のセローを買ってもらいました!(Muito Obrigada,Meu Bem!)納車日の今日は実家近くの雨上がりの河川敷を走り、セローをどろんこにした。
 そして翌日、慣らし運転を兼ねて茂木に行ってきました!実際のレースのエンジン音はとても重低音だった。オイルの匂いも新鮮だった。井筒選手の転倒もあった。
 茂木では「サーキットクルージング」に参加した。マーシャルバイクに先導してもらいつつ愛車でコースを走れるというもので、聞いただけでドキドキものだった。実際走ってみてホント気持ち良かった〜。明日は本選だ!!
                                                   (了)